Keychron K8 ProのキースイッチをDurock T1 Shrimpに交換した

背景

去年の9月からKeychron K8 Proを使っています。スイッチはGateron G Pro 赤軸を選びました。ここで始めて赤軸を使ったのですが、「悪くないんだけどやっぱり自分はクリッキーかタクタイルだな」と思ってスイッチを探し、今回はDurock T1 Shrimpを選びました。元々青軸大好きマンなんですが、音の問題があって今回はタクタイルを選択しました。スイッチは遊舎工房さんのオンラインショップで購入しました。K8 Proは87キーなので、35個入りを3つで合計105個、送料抜きで10,395円(99円/個)でした。なお、これを書いている時点で完売となっています。

ちなみにK8 Proの前はFILCO Majestouch NINJA 黒軸 US ASCIIを使っていました。これは相当前に「ちょっと黒軸も使ってみるかw」と言って買ったものです(Twitter遡ったら2013年くらいには使ってたらしい)。そのさらに前は自作キーボードキットのMint60に静音茶軸をつけたものを使用していました(2019年に作ってた)。Mint60の一部キーが効かなくなってしまい、原因を突き止めるまでと眠っていた黒軸を引っ張り出してきて早数年という状態でした。

先日無事にスイッチが届いたので交換過程を書いておきます。

作業

準備するもの

  • スイッチ本体
  • キーキャッププラー
  • スイッチプラー

工具(プラー)はどちらもK8 Proに付属しています。まずこれがあるかを確認します。我が家の場合はだいぶとっちらかっていて探すのに手間取りましたが、無事にARCHISSのキーキャッププラーを発見しました。あれ、Keychronのは……? スイッチプラーはKeychronの付属品を使いましたが、若干使いにくさを感じました。他の柄(?)の長いタイプだともうちょっとやりやすいんでしょうか。

キーキャッププラーはヨドバシなどでも取り扱いがあります。一方でスイッチプラーはさすがに無かったので、スイッチを買うついでに買っておくのもよいかもしれません。Gateron スイッチプラーとかすごい高いんですけど、使い方動画見てると気持ちよさそう。

あと自分の場合はスイッチを引き抜くときに勢い余って吹っ飛ばすのを10回ほどやらかしたので、スイッチが飛んでいってもすぐ見つけられるような作業スペースを確保した方がよいと思います。

ちなみに後からKeychronのキーキャッププラーも見つかりました。右からARCHISSとKeychronのキーキャッププラー、左がKeychron付属のスイッチプラーです。キーキャッププラー地味に針金部の形も違いますね。

Tools

Step.1 キーキャップを外す

外す前にキーボード全体の上からの写真を撮っておくことを強くオススメします。普段タッチタイピングをしているのでキーの位置くらい覚えてるだろうと思っちゃうんですけど、これ頭で記憶してるんじゃなくて身体が覚え込んでるだけなので、いざキャップ単体を見て「これはどこ?」と聞かれるとすぐには出てこないです。戻す時の作業効率のためにキー配置は事前に撮っておきましょう。

キーキャッププラーを使ってキーキャップを外していきます。プラーの先端部をキーの隙間からキーキャップの下に潜り込ませて、3点(ないし4点)で接するように引っかけられたら真上に引き抜きます。大多数のキーはキーキャップの角に引っかける形になると思いますが、Shiftやスペースなどの長いキーはしっかりとプラーを引っかけて外します。Backspace、Shift(左右)、Enter、スペースキーにはスタビライザーがあります。Majestouchなどは事前にスタビライザーの針金を外しておく必要がありますが、K8 Proは針金がないのでそのまま引っこ抜いて大丈夫です。

ちなみに、たまにキーキャッププラーに似た形状の短いキーキャッププラーを見かけますが、個人的には使いにくいので針金みたいなので引っかけるタイプがよいと思います。

Step.2 キースイッチを外す

スイッチプラーを使って外します。スイッチの上下にはツメがあります(1枚目は上から、2枚目は横から撮った写真です)。

Key Switch hook
Key Switch hook (side view)

ここにスイッチプラーを噛ませて挟み、真上に引き抜きます。ピント合ってないですがプラーで挟んでいる様子です。スイッチの爪がプラーで押し込まれているのがわかるでしょうか。

Key switch pinched

キーキャップよりも力を入れないと抜けませんが、力を入れすぎると前述のように引き抜いた勢いのままスイッチを吹っ飛ばすかもしれないので反対の手を添えて引き抜く力を調整するとよいと思います。それでも吹っ飛ばしましたが。

引き抜く時に変な力を掛けるとピンを折る可能性があります。引き抜いたスイッチももちろん後で使えるので、引き抜いた後にピン折れしてないかを確認しておくとよいと思います。万が一折れていた場合でも、スイッチのピンは割と柔らかい金属なので、指で押したり、先端が平たいピンセットで挟んだりして真っ直ぐにすれば大丈夫です。完全に真っ直ぐにならなくてもソケットに刺さる程度に戻れば問題ありません。

Step.3 スイッチをはめる

新しいスイッチをはめ込みます。外したそばから入れ替えていってもよいです。スリット状の部分(LEDを透過させる窓っぽい?)がある方が手前です。自作キーボードの場合はたまにスイッチの上下が異なることもあるそうですが、K8 Proは全て同じ方向です。ソケットの穴に入ってないのに押し込むと当然ピンが曲がってしまうので、真っ直ぐに入れるように注意します。

自分はここのスイッチ外してはめるだけで1時間かかりました。あと指がめっちゃ痛くなりました。作業スペースとあわせて時間にも余裕を持ちましょう。間違っても午前中に届いたからって昼休み(1時間)でやろうとしてはいけません。

Step.4 キーキャップをはめる

事前に撮った写真を参考にキーキャップをはめていきます。矢印キーはバラしてしまうと特に分かりにくいので注意しましょう。

Step.5? キーキャップを変える

ここで急に「Mint60使ってないし、Mint60のキーキャップをK8 Proに使おう」と思い立ってキーキャップ入れ替えを実施しました。さっきはめたのはなんやねん。Mint60にはTai-Hao ABS Starry Nightを使っていて、結構気に入っていました。

Starry NightとKeychronのキーキャップとは若干形状が異なります。Starry NightはOEMプロファイルで、一方Keychronのキーキャップは「OSAプロファイル」と名乗っており、これは「球面角のOEMプロファイル」だとしています。なので高さとかは同じで、キー表面の形状がシリンドリカル(円柱状にえぐれている)かスフェリカル(球状にえぐれている)かの違いしかないようです(キーキャップの形状には規格があるわけではないので、実際には高さや傾きが微妙に違う可能性もあります)。元々Majestouch使いなのでOEM(シリンドリカル)の方が馴染みがあるというのも交換の目的です。

Note
形状の違いはアーキサイトのキーキャップ特集ページの図が分かりやすいと思います。

まずMint60、K8 Pro双方のキーキャップを全て外します。Mint60もそれなりに使っていたのでここでキーキャップを洗って(後述)、乾かしてからK8 Proに装着していきます。一部キーは対応するものがないので、適当なキャップで補います。

なおK8 Pro付属のキーキャップは適当な袋に入れて保管しています。

Step.5?-a キーキャップを洗う

キーキャップ自体はただのプラスチックなのでじゃぶじゃぶ水洗いしましょう。

外したキーキャップを洗濯ネットに入れて、中性洗剤を溶かした水ないしぬるま湯に入れて洗います。中性洗剤である必要があるかは分かりませんが中性洗剤は万能だから中性洗剤を使っておけばたぶん大丈夫。その後3,4回ほど水を入れ替えながらすすぎ、最後にネットから出して平たい場所に散らして置いて乾燥させます。表はともかく裏(キースイッチ)側は奥まってる形状なのでしっかり乾かした方がよいと思います。冬場に浴室乾燥機で換気した状態の風呂場に置きましたが一晩では若干乾いていませんでした。

Artisanキーキャップとか、最近見かけたセラミックキーキャップとかはどうなんでしょうね。素材によると思うので特殊なキーキャップを使う人はお手入れ方法も調べた方がよいと思います。常時手指が触れるところなので雑に洗えた方がうれしいです。

完成!

仕上がりはこんな感じとなりました。

Replaced overlook

Escキーは2019年のScalaMatsuriのCyberAgentブースでもらったキーキャップにしています。⌘commandキーや⌥optionキーなんかはないのでそれぞれWindowsキーとAltキーに、またfnがApplicationキーになっています。あと右上の3つは通常のフルキーボード配列っぽくPrint Screen、Scroll Lock、Pauseとなっていますが、右2つの役割は全く異なっています(K8 Proデフォルト設定のままで、それぞれSiriと発光パターン切換)。全然使わないので実害はないです。

LED点灯状態だとこんな感じです。LEDは設定で青色の常時点灯にしています。

Replaced overlook

ABS素材だとやっぱりテカってきますね。

スイッチの感想

Note
Cherry MX以外のスイッチはまともに長期間使ったことがないので、別のスイッチとの比較をする場合はCherryの何とか軸との比較になります。

まず見た目がキレイなのがいいですね。キーキャップつけたら全く見えませんが……。

Key switch installed

押下圧67gと結構重いスイッチですが、元々青軸やら黒軸やら使ってたので重さについての違和感はないです。ちなみにダイヤテックの紹介ページによるとCherry MXの青軸・黒軸は60cN(ほぼ60g)だそうです。T1 Shrimpはアクチュエーションポイント不明となっていますが、青軸に比べるとキーを押し込んだら(つまりタクタイルポイントを超えたら)もう入力されている感じです。

タクタイル感も強く「うおおお押してる」という感覚が指先から得られます。最高。逆に同じタクタイルといっても茶軸と同じノリで使うとめっちゃ疲れるんじゃないでしょうか。

音は商品ページに"Silent Tactile"とあるようにかなり静かです。キースイッチの音に関する性能は音の大きさの他に耳障りな音がしない、という点も入りますが、そのどちらも十二分に満たしていると思います。ただどうもBackspaceだけ押し込む時に擦れたような音がして、戻る時にはカタカタ鳴っています。音の感触的にスタビライザーっぽいんですが、そうすると本体側の問題になるのでちょっとよく分かっていません。これはなんとかしたい。

RealforceやHHKBなど静電容量式のキーボードの打鍵感はよく「スコスコ」と表現されますが、これに近い感じもあります。もうちょっとタイプ感強い感じというか、そんな感じの音です。

その他雑感

  • 個人の嗜好が強いところなので、いきなり総取っ替えはだいぶチャレンジングだと思った(やったけど)
    • スイッチテスターとかあるのでそれで試してみてもいいんですが、やっぱり1個だけ押してるのとキーボードとして使うのは感覚が全然違うのが悩みどころ
  • キーボードが好みに仕上がると気分が上がってよい
  • 毎日使う道具なので金はいくらかけてもよい(?)
    • 今回はギリ1個100円行かないんですけど、それでも87キー全部変えるには1万円超える

皆様も良きキーボードライフを。